治験関連文書での‟Local”の訳し方
今回は、メディカル分野の文書でみられるlocalの意味についてご紹介します。
まず、localには「地域の」という意味があります。この意味で用いられるlocalは、治験関連の文書を含めよくみられます。例えば、治験の実施にあたってlocal regulationを遵守するといったら「地域の」規則を遵守することを意味しますし、local regulatory authoritiesに報告するといったら「地域の」規制当局に報告することを意味します。
これとは別に、メディカル分野の翻訳を行う際に覚えておきたいのは、治験の文脈ではlocalが治験の実施医療機関を指す場合があるということです。多施設共同試験では施設間での手法などのばらつきによって検査結果に違いがでないように中央(central)で検査を一括管理する方式をとることがあり、中央との対比で各実施医療機関を指してlocalが用いられます。治験で行われる評価手順の一つにclinical laboratory testing(臨床検査)がありますが、これにlocalがくっついてlocal clinical laboratory testingとなると実施医療機関で行う臨床検査のことを意味します。
「local」の英文例
では、次の英文のlocalはどのような意味で用いられているでしょうか。
If a participant is unable to perform a study visit or a study site is unable to permit on-site visits by participants, use of an alternative location for assessment (including but not limited to local laboratory, family physician, and home visit) is recommended.
訳例
被験者が試験来院を実施できない場合又は実施医療機関が施設への来院を受け入れられない場合は、実施医療機関以外の場所で評価を行ってもよい(例:地域の検査機関、かかりつけ医、訪問看護)。
解説
これは、Covid-19が流行して以来よくみるようになった、治験の被験者が実施医療機関に直接来院できない場合の代替手順に関する一文で、被験者が実施医療機関への来院を実施できない場合、又は実施医療機関が直接の来院を受け入れられない場合には評価を行うために別の手段を利用してよいということが書かれており、その例としてlocal laboratoryが挙げられています。
先ほど、localは実施医療機関のことだと説明したとおり、local laboratoryが実施医療機関の意味で用いられる場合もあります。しかし、実施医療機関への来院ができない場合の措置として実施医療機関での評価が推奨されるというのは文脈から不自然ですので、この英文中のlocalは「地域(被験者の最寄り)」の意味で用いられていると考えられます。
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