【プロの翻訳術】翻訳品質は「申し送り」で決まる?次工程へ繋ぐバトンパスの極意

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翻訳や校正の仕事において、ファイル内にコメントを残し、別の作業者やクライアントへ伝える「申し送り」は日常的な業務です 。原文の不備や用語の判断、表現調整の理由など、伝えるべき事項は多岐にわたります 。
しかし、この申し送りの書き方一つで、プロジェクト全体の進行や、あなた自身の翻訳者としての評価が大きく変わることをご存知でしょうか?

今回は、数多くの翻訳原稿をチェックしてきたコーディネーターの視点から、チーム全体を助け、品質を高める「一つ上の申し送り術」をお伝えします。

なぜ「伝わらない申し送り」が生まれてしまうのか?

納品前の最終確認を行っていると、「実際に作業した人でないと意図が伝わりにくい申し送り」に出会うことがよくあります 。
作業者の方が「簡潔にまとめよう」と配慮してくださった結果だということは十分に理解しています 。しかし、その省略された一言が、次の作業者の負担になってしまうこともあるのです 。

たとえば、以下のような申し送りです。

「要確認です」

「表現を調整しました」

「前後参照」

作業した本人にとっては意味が通じていても、第三者が見たときには「何を確認すればいいのか 」「なぜ調整が必要だったのか 」「どの前後関係を見ればいいのか 」が分かりません。結果として、改めて原文や訳文を読み込む必要が生じ 、確認に余計な時間がかかったり本来不要だったやり取りが発生してしまいます 。

「第三者目線」を持つだけで、劇的に変わる

申し送りの質を高めるために、特別なスキルは必要ありません 。大切なのは、「自分以外の誰かがこの申し送りを読む」という視点を持つことです 。

以下をご覧ください。ほんの少し言葉を足すだけで、次の作業者の迷いを大きく減らすことができます 。

■作業者目線(NG例)
「表現を調整しました」
 
■第三者目線(OK例)
「直訳だと意味が取りにくいため、読み手が理解しやすい表現に調整しました」

このように背景を添えるだけで、第三者は意図をすぐに理解でき、作業全体をスムーズに進めることができます 。

申し送りは「多ければいい」わけではない

一方で、なんでもかんでも申し送りを付ければいい、というわけではありません 。細かすぎる説明や、すべての判断に申し送りを残すことは、必ずしも親切とは限りません 。多すぎる申し送りは、かえって「どこが重要なのか」を分かりづらくし、確認負担を増やしてしまいます

申し送りを「情報のノイズ」ではなく「作業を助けるヒント」にするためには 、以下のポイントに絞ることが重要です。

第三者が迷いそうな判断か

背景や理由を知らないと誤解されそうな箇所か

後工程で再確認や判断が必要になりそうか

「自分のため」ではなく、「次に見る人の作業を軽くするための申し送りかどうか」を意識してみてください 。

申し送りも「翻訳品質」の一部です

分かりやすい申し送りがある翻訳物は、確認や差し戻しが少なく、全体の作業がスムーズに進みます 。翻訳者、校正者、コーディネーターが同じ理解を共有できるためです 。
つまり、質の高い申し送りは単なる情報共有ではなく、チーム全体の連携と作業効率を支える重要な要素なのです 。

私たちコーディネーターは、「申し送りの質も翻訳品質の一部である」と考えています 。判断の一貫性や修正の意図が明確であることは、成果物を受け取るクライアントの満足度にも直結します 。そして何より、チームの作業効率を意識して適切な申し送りができる方には、「ぜひ次回の業務もお願いしたい」と強く感じます 。

終わりに:翻訳はチーム戦

翻訳や校正の仕事は、一人で完結するものではありません 。申し送りは、作業を次の人へ引き継ぐための大切な「バトン」です 。

日々の作業の中で、「この申し送りは、第三者が見ても分かるだろうか」と一瞬立ち止まるだけで、チーム全体が助けられます 。そうした配慮は作業の効率化と品質向上を生み、結果としてあなた自身の評価にも確実につながっていくはずです 。

MTSでは、こうした「現場で真に求められるプロの視点」を大切にしています。
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Posted by MTS