翻訳クイズ英訳編「関係代名詞」

医療翻訳クイズ

今回の翻訳クイズは「英訳編」です。

早速ですが、次の日英の対訳文を読んで、修正すべき点を見つけてください。

問題文

原文:40歳男性の症例。腹痛が3日間続き当院を受診。胸部レントゲンは異常なし。

訳文:This case was a 40-year-old man who presented with a 3 day history of abdominal pain. His chest X-ray was normal.

解説

いかがでしょうか。修正してほしかったのは以下の下線部です。

修正例:A 40-year-old male patient presented with a 3-day history of abdominal pain. His chest X-ray was normal.

修正箇所が1ヵ所だけだと思って油断した方がいたら、ごめんなさい。英訳クイズの1発目なので、軽い変化球を投げました。

順番に解説していきましょう。

①まず、「症例=case」ではないという点です。メディカル翻訳の間違いとして取り上げられることが多いので、ご存じの方も多いと思いますが、caseで表すことのできる「症例」は「どんな患者さんに、どのよう背景で、どのような事象が生じ、どうなったか」という一連のエピソード、事例です。日本語では、この問題の原文のように患者の意味で「症例」が用いられることも少なくありませんが、この場合にcaseを当てるのは語義の上で不適当なわけです。

②もう一つは、「3」と「day」の間にハイフンが必要な点です。数字と単語を組み合わせて形容詞として用いる場合、それぞれの単語をハイフンでつなぎます。40-year-oldも同じです。なおX-rayについては、1文字と単語を組み合わせて複合語を作るためにハイフンが用いられています(同様の例として、ほかにD-dimerなど)。

全体として原文と訳文が逐語的に対応していないので、上記以外の箇所が誤りだと判断された方もいるかもしれませんが、これは症例報告として自然な書き方・表現を選択したためであり、(少なくともMTSでは)そのほかの点については修正不要と考えています。

今回の内容が、皆様の翻訳の際にお役に立てば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。