頻出用語 “investigator”

医療翻訳用語の基礎

今回のテーマは、治験関連文書で頻繁に見かける「investigator」。

治験は医薬品規制調和国際会議(ICH)の医薬品の臨床試験の実施基準(GCP)に沿って行われます。治験の翻訳をするうえで基礎知識として必要ですので、ぜひ一度ガイドラインを読んでみてはいかがでしょうか。

日本版GCPのURL:https://www.pmda.go.jp/int-activities/int-harmony/ich/0028.html

治験関連文書には120%の確率で出てくる「investigator」。「今さら解説されるまでもないよ」とおっしゃるあなた!実はなかなか悩むことの多い単語なのです。

簡単な解説と訳語

治験責任医師(investigator):治験に係る業務を統括する医師
治験分担医師(sub-investigator):治験責任医師の指導の下に治験に係る業務を分担する医師

ただし、GCPには規定されていないのですが、治験責任医師と治験分担医師を合わせて呼称する用語として、治験を担当する医師=「治験担当医師」も登場することがあります。その場合、3つの用語は次のように区別されます。

治験担当医師(investigator)=治験責任医師(primary investigator, PI)+治験分担医師(sub-investigator)

責任か担当か?

では上記を踏まえて、治験のレター(治験依頼者から治験実施医療機関への連絡文書)の冒頭のワンフレーズを訳して見ましょう。

「Dear investigators,」

どのように訳したでしょうか?

「治験責任医師」?「治験担当医師」?正解は…

「どちらとも言えない」です(笑)そう、これだけでは、「治験責任医師」か「治験担当医師」か決められないのです。ではどうすればよいかと言うと…

治験実施計画書で確認しましょう!

治験関連文書の翻訳をお願いする際は、治験実施計画書の英文と和文の対訳を参考資料としてお渡ししています。それを見た上で、「責任」か「担当」か判断してください。

基本的な単語の「investigator」のために参考資料を見るのは面倒…と思われる気持ち、とてもよくわかります。ただ、参考資料に沿った訳語を使用することは基本中の基本ですので、是非「責任」をもって「担当」していただければと思います(うまい!)。

なお、参考資料がない場合は、GCPに沿った「治験責任医師」としておけばよいでしょう。少なくとも誤りではないですからね。

おわりに

いかがでしたでしょうか?今まで「investigator」の訳し方に悩んでいた方は、是非参考にしてみて下さい。

最後までお読みいただきありがとうございました。