「additional」の訳し方
additionalは「追加の」という訳語を思い浮かべる方が多いと思いますが、「追加の」では原文の趣旨を正しく伝えられないことも少なからずあるため注意が必要な単語の一つです。
早速ですが、以下の例文をご覧ください。
(例文)※ABCとXYZはそれぞれ薬剤の名称です。
Serious adverse drug reactions (SADRs) associated with monotherapy of ABC are anaemia, abdominal pain, and diarrhoea.
Patients receiving XYZ, in combination with ABC, may experience additional SADRs.
(訳例)
ABCの単剤療法時に認められる重篤な副作用(SADR)は、貧血、腹痛及び下痢である。
ABCとの併用でXYZの投与を受けた患者では、追加の(?)SADRが発現する場合がある。
上の訳例では、additional SADRsを直訳で「追加のSADR」としていますが、「追加のSADR」では、SADRの発現頻度が追加される(=何らかのSADRが発現した上で、さらにSADRが発現する)のか、発現するSADRの種類が追加される(=単剤療法時とは別のSADRが発現する)のか趣旨が不明瞭です。
この例文のadditionalは、「種類の追加」を意味していると例文から解釈できるため、「~とは別の」や「~以外の」などの訳し方をしたほうが明確な訳文になります。
(修正訳)
ABCの単剤療法時に認められる重篤な副作用(SADR)は、貧血、腹痛及び下痢である。
ABCとの併用でXYZの投与を受けた患者では、これ以外のSADRが発現する場合がある。
additionalは「追加の」と簡単に訳せる単語ではありますが、「追加の」とする前に、その訳できちんと意味が伝わるか検討していただくとよいかもしれません。
最後までお読みいただき有難うございました。
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