翻訳クイズ和訳編「三単現」
この記事をお読みになろうとしている方は、学生時代の英語の試験や英検、TOEICなど、いわゆる「英語のテスト」がお好きな方が多いのではないでしょうか。
「翻訳クイズ」シリーズでは、翻訳の参考となる(かもしれない)情報をクイズ形式でお伝えしていきます。
早速ですが、次の英日の対訳を読んで、修正すべき点を見つけてください。
なお、下の方に修正例を記載していますが、「ちょっと見えたぞ」という方はウィンドウのサイズを調整したり、スクロールやズームで表示範囲を調整したりして、修正例が見えないようにしたうえで考えてみてください。
「がっつり答えが見えたぞ」という方はごめんなさい。今回は解説の確認だけであきらめて、次回のクイズは薄目で記事を開いてください。
問題文
原文:This is a phase III randomized study using progression-free survival (PFS) and overall survival (OS) as endpoints that is intended to demonstrate the safety and efficacy of the investigational drug AAA.
訳文:本治験は第III相試験であり、治験薬AAAの安全性及び有効性を証明するための評価項目として無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)を用いる。
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解説
いかがでしょうか。修正してほしかった点は以下のとおりです。
修正例:本治験は、治験薬AAAの安全性及び有効性を証明することを目的とした第III相試験であり、無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)を評価項目として用いる。
あるいは
本治験は、無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)を評価項目として用い、治験薬AAAの安全性及び有効性を証明することを目的とした第III相試験である。
いずれの訳例でも、当初の訳文とはthat以下の文節の訳出されている位置が変わっていますね。
これは関係代名詞thatの係り方が
× endpoints that is intended
○ study…that is intended
となるからです。
注目したいのは、動詞がis、つまり三人称単数であることです。注意せずに読んでいると、thatの直前にあるendpointsに先行詞を求めたくなりますが、endpointsは複数形なので文法的に不適当です。文を遡ってみていくと単数形のstudyがあり、内容的にもこれを先行詞とするのが妥当と判断できます。
実際には、このようなことを考えなくても、文の内容に基づいて自然と先行詞を特定できることが多いのですが、上記のように一見して先行詞の候補となる名詞が複数ある場合に、動詞の形から先行詞を特定できることがあることは覚えておいて損はないと思います。
(※ただし、先行詞の候補となる複数の名詞の単複が同じである場合はこの方法は使用できず、背景情報などから判断する必要がある点に留意してください。)
今回の内容が、皆様の翻訳の際にお役に立てば幸いです。ご覧いただきありがとうございました。