意外と知らない?“account for”の使い方

2023年10月16日医療翻訳用語の基礎

メディカル翻訳のみならず多様な場面で使用される“account for”について用語解説させていただきます。

さまざまな意味を持つ表現で、ランダムハウス英和大辞典で“account for”を調べてみると、「説明をする」「(主な)原因となる」「責任を負う」「明細を明らかにする」「(獲物、敵などを)殺す、撃ち取る、しとめる」「割合を占める」「点を入れる」と多様な訳語が出ています。

このように多くの意味を持つ“account for”ですが、医学関連文書でも以下のような文章がみられます。

1)These patients are more likely to be receiving immunosuppressive drugs, which may account for the increased risk of lymphoma.

(これらの患者は免疫抑制剤投与を受けている可能性が高く、これがリンパ腫のリスクを上昇させる原因となっている場合がある。)

英訳の際は、「原因となっている」にcauseやreasonなどを使用したくなる方も多いかもしれませんが、上記のようにaccount forとする選択肢の引き出しがあると訳出の幅が広がると思います。この場合のaccount forは「説明する、原因となる」の意なので、explainに置き換えても文意は変わりませんね。

2)In 2012, 8.6 million inpatient stays involved at least one mental disorder or substance use disorder diagnosis, accounting for 32.3 percent of inpatient stays.

(2012年には、860万件の入院に1件以上の精神障害又は物質使用障害が関連しており、これは入院全体の32.3%を占めていた。)

英英辞典では、“If a particular thing accounts for a part or proportion of something, that part or proportion consists of that thing, or is used or produced by it.”と説明しています。

“A accounts for B of C”で「AはCのB(割合、部分)である」と覚えておくといいですね。

和訳の際には、上記のように「~を占めている」という表現がよくみられますが、これに縛られることなく「~である」(上記の例文だと「これは入院全体の32.3%である。」)又は「~に相当する」(これは入院全体の32.3%に相当する。)などの訳語が当てはまる場合も考えられます。

最後までお読みいただきありがとうございました。