Safetyを訳す際の注意点~「安全」と「安全性」の使い分け~
今回は、名詞"safety"を翻訳する際の注意点についてご紹介します。
早速ですが、以下の例文①と②をご覧ください。①と②は同じ文書中の文です。
①
The primary objective of the study is to evaluate the safety and tolerability of the study drug AAA.
本試験の主要目的は、治験薬AAAの安全性及び忍容性を評価することである。
②
An independent data monitoring committee (IDMC) will review safety data to ensure the safety of subjects in this study.
本試験では、被験者の安全性を確保するために独立データモニタリング委員会(IDMC)が安全性データを評価する。
さて、上記の訳は正しいでしょうか?
“Safety"でよく用いられる訳語には、「安全」と「安全性」があります。
「安全」とは、危険がなく安心であること、危害や損傷を受けるおそれのないことを意味し、
「安全性」とは、危険や危害を及ぼさない程度のことを意味します。
これを踏まえて上の例文をみると、①では"safety"が「安全性」と訳されています。この場合、「治験薬AAAの安全性」=「治験薬が被験者に危害を及ぼさない程度」となるため、意味として自然です。
②の例文では、"safety data"と"safety of subjects"の両方で"safety"が「安全性」と訳されており、それぞれ「安全性データ」と「被験者の安全性」となっています。
“Safety data"は治験薬AAAの安全性に関するデータのことを意味していると考えられるため「安全性データ」で問題ありませんが、"safety of subjects"は被験者に危険が及ばない状態のことを意味しているため「被験者の安全」とするのが適切です。
②修正:本試験では、被験者の{×安全性 ⇒ 〇安全}を確保するために独立データモニタリング委員会(IDMC)が安全性データを評価する。
「被験者の安全性」だと、「被験者自身が(誰か/何かに)危害を及ぼさない程度」(例:凶暴な人物ではない)という意味になってしまいます。
例文のように、「安全」とすべき"safety"を他の箇所につられて「安全性」としないよう注意したいところです。
最後までお読みいただき有難うございました。
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