コーディネーターはなぜ「返信の早い翻訳者」を選ぶのか

2024年7月16日翻訳会社の「中の人」

翻訳コーディネーターが依頼したくなる翻訳者は「返信の早い翻訳者」という話をよく耳にするかと思います。実際にコーディネーターである私にとっても「返信の早い翻訳者」は大変有り難い存在で、声を掛けさせていただく優先度は高いです。
そこで今回は「返信の早い翻訳者」が求められる理由についてお話します。

なぜ「即レス」の翻訳者を選ぶのか?

これはコーディネーター側の都合ですが、「即レス」の翻訳者さんを選ぶ理由は、以下の2つが大きいです。

  1. 業務がスムーズに進む
  2. 連絡が取れない状況(リスク)を避けたい

コーディネーターにとって「業務をスムーズに進める」ことは受注量を増やし、適切に進捗管理をするうえで非常に重要です。翻訳会社によって1人のコーディネーターが担当するクライアント数や抱える案件数に差はあると思いますが、多くのコーディネーターは常時複数の案件を担当しています。案件手配の処理速度が下がれば、その分だけ未手配の案件が溜まっていき、他の業務の進行にも支障がでます。

コーディネーターは常に「案件受注⇒翻訳手配⇒クライアント納品」をスムーズに進め、1件でも多く手配するために早めに翻訳者さんのスケジュール調整をして、次の業務に取り掛かる必要があるので、案件手配する際には自然と「即レス翻訳者さん」が頭に思い浮かびます。もし打診した翻訳者さんがお引き受け出来ない場合は、すぐに別の翻訳者さんへ打診しなければいけないので、引受不可(お断り)ほど即レスが求められ、即レス翻訳者さんへの打診優先度は高くなります。

反対に、連絡してもしばらく返信がなかったり、いつ返信があるか分からない翻訳者さんへは打診することを躊躇するのがコーディネーターの心理です。仮に返信の不安定な翻訳者さんに案件を依頼することができたとしても、進行中にトラブルが発生した場合や、クライアントの問い合わせに対し翻訳者さんへの確認が必要になった場合などで困ることが多いからです。プロジェクト完了までに想定外のトラブルが発生しないように不安要素はなるべく取り除いておきたいのがコーディネーターの心理なので、トラブル回避のためにも連絡の取りやすい翻訳者さんを優先することが多いです。

どんな翻訳者が「即レス」翻訳者なのか?

「即レス」といっても人によって捉え方が違うと思います。私(コーディネーター)の場合は、30分以内に返ってくると「早い!有り難いなあ」と思います。1~2時間程度であれば、スムーズに業務を進められる範囲です。半日以上返信がないと少し心配になり、「あれ?他の翻訳者さんに打診したほうがいいかな…」と感じます。もちろん、たまたま出かけていたり、休暇を取っていることもあると思うので、その時だけ連絡がつかないのであればあまり不安にはなりません。そういった場合でも、もし可能であれば「事前に連絡がつかないこと」をお知らせいただいたり、「外出中なので、〇〇時までには返信します」とお知らせいただければ、コーディネーターとしては大変有り難いです。

「即レス」翻訳者を確保するためにコーディネーターがすべきこと

即レス即レスと書いてしまいましたが、すべての翻訳者さんに「いつでもすぐに返信ほしい」と求めているわけではありません。言い換えれば、「いかに効率よく連絡が取り合えるか」です。翻訳者さんによっては稼働している時間帯が違ったり、育児中や介護中の方などご事情のある方もたくさんいらっしゃいます。大切なのはその翻訳者さんが「いつ稼働していて、どの時間帯であれば連絡が取りやすいか」をコーディネーターが知っていることです。翻訳会社やコーディネーター側は、翻訳者登録していただく際に大体の稼働時間を登録票に記載してもらったり、案件打診の際に「連絡が取れない時間帯や連絡が取りやすい時間帯はありますか?」などお聞きし、お互いにとって業務がスムーズに進められる工夫をしておく必要があると思います。
もし翻訳者さん側でGoogle等での公開スケジュールのURLを共有していただいたり、メール時の署名に次のお休みや不在時間を記載いただければ、連絡する際の参考になるので大変助かります。

おわりに

コーディネーターも会議やクライアント対応、休暇等で返信が遅くなることがありますが、翻訳者さんが作業をスムーズに進行できるよう、翻訳に関する問い合わせには優先対応を心がけ、別のコーディネーターに代理対応してもらうなどの工夫をしています。
コーディネーターと翻訳者さんがお互いにとって不安のないやり取りができるよう、また翻訳者さんにとっては受注数を増やす一助となるよう、この記事が皆様のお役に立てば嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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