翻訳会社にはこんな仕事もあります
弊社はメディカル専門の翻訳会社として20年以上業界に携わらせていただいておりますが、実は翻訳案件以外のお仕事も受注しています。今回は実際にお客様からお問合せ頂いた意外な相談内容をご紹介させて頂ければと思います。
ナレーションを吹き込んでほしい
先日、日ごろからご贔屓頂いているある医療機器メーカー様から、計14時間程のトレーニング資材のPowerPointにナレーションを付けてほしいとのご相談を頂きました。作業内容としてはまず医師の日本語講義動画を文字に起こし、それを台本として推敲しPowerPointにナレーションをつけるというものでした。
このお話しを頂いた際初めにお尋ねしたのは、「翻訳は不要ということでしょうか?」という質問でした。翻訳者様、翻訳者を目指している皆様は、翻訳会社にこのような案件もあるという事はご存知でしたでしょうか?これまでの経験上、翻訳作業、あるいは翻訳チェック作業のどちらでもない案件というものをあまり対応した事がなく、お話しを頂いた際はとても驚きました。
お客様曰く、翻訳案件自体は無いが、日頃の品質の高さなら講義内容もしっかり把握しながら専門用語にも抵抗なく、スムーズかつ正確な作業をしてもらえそうだと考え、お声がけ頂いたとの事です。文字起こし専門やナレーション専門の会社も数多くあるなか、弊社にこのようなお声がけを頂いた事とても有難く感じました。
残念ながらナレーションの吹込みまでは弊社で対応することはできませんでしたが、文字に起こされたものを専門知識を持った翻訳者様に確認して頂く、という対応となり、日ごろから確かな翻訳物を仕上げて頂いている翻訳者様、社内チェッカー、コーディネーターのおかげだと改めて皆さんに感謝しました。
自分が書いた本を翻訳してほしい
初めてお問合せを頂いたお客様ですが、ご自身で書かれた出版済みの本の英語版を作成したいという事で、100ページ程の書籍を丸々翻訳させて頂きました。もちろん、これまでも書籍の一部を翻訳させて頂く事はあったのですが、今回は著者から、今後新刊(日英)を出版するにあたり、弊社の翻訳版を参考にしたいという事でした。
やや一般向けの書籍でありお客様自身が書かれた本ですので、満足いくものが仕上がるのか多少の不安はありました…。その為、お客様とも細かく打ち合わせをし、用語の定訳をなるべく頂くようにして、一般向けの翻訳を得意とされる翻訳者様にご対応頂きました。翻訳者様、そして弊社のチェッカーにはかなり丁寧に翻訳・校正をして頂き、通常ではまずやらない日本固有の言葉や表現、皮肉に対し、英語話者向けの説明文を提案しました。その結果、説明文を追記した事にとても満足して頂き、お客様からお褒めのお言葉を頂く事ができました。
原文にないものを訳出するという作業は、普段の案件ではほとんど行わないため、お客様からのフィードバックを頂くまで不安はありましたが、感謝の言葉を頂けた時の達成感はすごく大きかったです!
通訳をお願いしたい
実は弊社では通訳案件も手配しているのです。とはいっても弊社ホームページのサービス一覧に「通訳」はないため、決して得意としているわけではありません。ただ、前述のナレーションの件のように、長くお付き合いしているクライアント様から「通訳もしてくれない?」という問い合わせが時々あり、ご要望にお応えしようと、片手で足りるくらいの案件数を年間で対応しております。
いつも翻訳案件ばかりを対応しておりますので通訳の問合せがあった時は若干焦るのですが、ここ最近はほとんどオンラインツールを使用して複数名の方と繋がりながらの通訳にシフトし、同時通訳など音声面で更に四苦八苦しながら手配させて頂いております。
驚いたのは、これまで通訳機材の手配や設定は既に済んだ状態で通訳者様が現地で対応する事がほとんどでしたが、通訳者様はこのコロナ禍での時代の変化にすぐに適応し、私たち以上に様々なオンラインツールの使用に秀でているいという事が多々あり、プロだなと感銘を受けました。 時代の変化に伴いお客様の要望や需要も変化していきますので、それらをいち早く感じ取れる姿勢を見習いたいと痛感しております。
おわりに
通訳の件は少し特例ですが、対訳表を作成してほしい、作業用の上書きファイルを作成してほしい、専門知識を持っている翻訳者様にチェックを依頼したい、といった仕事も実は結構あります。
翻訳会社に登録されている翻訳者や翻訳者を目指している方には、皆様の知識を翻訳だけではなく違った形でお借りする事があるかと思います。ぜひ、いろんな案件に挑戦して頂けますととても嬉しく思います!