クライアント納期の決まり方(2パターン)

翻訳会社の「中の人」

今回は、お客さんからの翻訳依頼の際に、納期の指定がある場合とない場合の手配方法についてお話しします。
納期の調整方法は状況に応じていくつかありますが、今回は2パターンをご紹介します。

パターン1)お客さんから納期の指定がある場合

予め納期が決まっている場合、その期間内で作業できる翻訳者探せばよいため、
コーディネーターにとって手配の難易度はそれほど高くありません。

翻訳者の納期設定や手配は以下の順番で進めます。

  1. 受注が確定したのち、お客さんへの納品日に合わせて、翻訳、校正、レイアウト調整、それぞれに割り当てる日数を計算する
  2. 受注日から[1]の日数で作業可能な翻訳者さんを探し打診する。提示した納品日でOKであれば依頼し、NGであれば別の翻訳者さんに打診する
  3. 翻訳者さんが決まったら、校正やレイアウト担当者を手配する

基本的にスケジュール全体のうち7割を翻訳に、残りの3割を校正やレイアウトに充てるよう、各作業日程のバランスを取ります。

パターン2)お客さんから納期の指定がない場合

お客さんから納期が決まっていない場合、「依頼したい翻訳者さん」が希望する納品日を起点に全体のスケジュールを考えます。

翻訳者さんの納期設定や手配は以下の順番で進めます。

  1. その案件を依頼したい翻訳者さんに打診し、希望納期を提示してもらう
  2. 翻訳者さんの提示した納期に、校正やレイアウト調整の担当者に割り当てる作業日数を追加し、お客さんへの納品日を算出する
  3. お客さんに納品日を提示し、合意が得られればそのまま作業を開始する

納期の指定がない方が、手配の難易度が上がります。
お客さんが納期を指定しない場合は以下の理由が考えられるからです。

  • 複数の翻訳会社から相見積もりを取っており、各翻訳会社から提示された納期や金額などの条件面を比較して発注先を判断するため
  • まずは翻訳会社から提示された納品日を確認してから、プロジェクト全体のスケジュールの調整をしているため

前者の場合、相見積もりであることは知らされないことが多いです。事前に相見積もりと分かっていれば、案件を獲得できるように利益を削ってでも調整するのですが、他社の納期や金額の条件が良ければ、交渉前に失注してしまうこともあります。
後者の場合、こちらが提示した納期がお客さんの想定より遅い場合、「納期前倒しの要望」が来るので、再度スケジュールと作業工程を見直し、打診中の翻訳者さんへ納期短縮の交渉や、別の翻訳者さんへ新たに打診します。

お客さんが納期を指定しないのは、もちろん「翻訳を急いでいないから」という場合
もありますが、上記の理由から納品日を指定しない事があるので、納期調整が一筋縄ではいかず、何度も調整することもあります。

おわりに

お客さんにもよリますが、「納期の指定がある場合」が全体のうち4割、「納期の指定がない場合」が全体の6割ほどです。
今回お話した納期の考え方や手配の仕方がすべてではありませんが、どのような案件でも、納期の調整は臨機応変な対応が求められます。コーディネーターの経験値が高いほどスムーズに進みますが、翻訳者さんを始めとするパートナーの方々の協力は欠かせません。協力してくださるパートナーの方々がいてこそ業務を進められることに感謝し、お客さんの意図を読み取り、最適なお取引ができるよう努めています。

今回の記事が参考になればうれしいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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