読点(、)の打ち方
文章を書くときや翻訳するとき、読点(、)を正しく使えている自信ありますか?生まれてからこれまで日本語を日々使用し、小学校の国語から始まり、現代文や古文まで何年も勉強してきました。基本的な読点が使えないわけない。わけないはずなのに、いつも読点に迷っている…ということで、今回は読点の打ち方についてご説明していきます。
句読法
公用文や学校教育における読点のルールは、明治39年の文部省大臣官房調査課が草案した句読法(案)と、それを骨子として現代口語文に適するものとした昭和21年の文部省国語調査室の句読法案が参考にされています。大分古いルールですね。
今回はこれを踏まえた上で、「基本的に読点を打つ場所」と「読点を打つか打たないか判断をしなければならない場所」の2パターンに分けてご紹介します。
基本的に読点を打つ10の場所
まずは基本的には読点を打つ10箇所です。
- 文の「中止」に打ちます。文の「終止」に打つのが「句点(。)」ですね。
例)おじいさんは山へ芝刈りに行き、おばあさんは山へ洗濯に行きました。
- 形的には「終止」であっても、その文意が続く場合は「。」ではなく「、」を打ちます。
例)臼も来ました、蜂も来ました、栗も来ました。
- 語句を同格のものとして並列する場合に打ちます。
例)タイ、ヒラメ、イソギンチャクなど
- 文中に挿入された語句の前又は前後両方に打ちます。
例)童話における教訓的エンド、たとえば死んでしまったキリギリスや笑われた王様などは子供たちの心にどう映るだろうか。
例)欧米の童話、とりわけグリム童話に言えることだが、恐ろしい終わり方をするものが多い。
- 助詞などを伴わず、独立して提示された語句のあとに打ちます。
例)富士山、この日本人にとって特別な意味を持つ山にまつわる話をしていきましょう。
- 感嘆詞、呼びかけや返事のあとに打ちます。
例)わぁ、なんて美しい姫だろう。
- 倒置文で述語のあとに打ちます。
例)お湯を沸かすのだ、今すぐに。
- 音声上の切れ目に打ちます。又は意図的なリズムや文の調子を作り出したいときに打ちます。
例)オオカミは「ふ、ふん」と鼻で笑いました。
例)キラキラ、キラキラ、キラキラと美しく光っています。
- 読みの間を示し、文の流れを意図的に切って、あと又は前の語句を強調する場合に打ちます。
例)まさに、頭隠して尻隠さず、だ。
- 文字の続き具合や意味なりの付着により、読み誤る恐れがあったり、読みにくかったりする場合に打ちます。
例)凍えるような夜、空を見上げてみました。(読点がないと、「夜空」と読み誤る可能性がある。)
例)くるくるくるくるとコマのように、その女の子はいつまでも踊り続けました。(読点がないと、平仮名が続いて読みにくい。)
ここまでが基本的には読点を打つ場所です。特段の理由がない限り、読点を打ってください。
読点を打つか打たないか判断が必要な9の場所
文の全体を見て、読点の数や流れを踏まえた上で、打ったり打たなかったり判断する必要があるのが以下の場所です。例文を見ていただくと分かると思いますが、打とうか打つまいか迷いますよね。見た目、全体のバランス、読みやすさ、読者に誤解を生じさせないか等を総合的に検討して、打つか打たないか決めてください。
- 主語や意味上の主体となる語句のあとに打ちます。主語が長くなる場合は打った方が良いでしょう。
(打った例)そのカメは、海へと帰っていきました。
(打たない例)そのカメは海へと帰っていきました。
(打った方がいい例)子供たちが助けたカメは、海へと帰っていきました。
- 形容詞的語句が重なる場合に打ちます。
(打った例)大きく、真っ赤で、つやつやとしたリンゴ。
(打たない例)大きく真っ赤でつやつやとしたリンゴ。
- 接続詞のあとに打ちます。
(打った例)そして、末永く幸せに暮らしました。
(打たない例)そして末永く幸せに暮らしました。
- 文頭におかれた副詞的語句のあとに打ちます。
(打った例)おそらく、鬼の爪痕だろう。
(打たない例)おそらく鬼の爪痕だろう。
- 限定、条件、理由などを示す叙述のあとに打ちます。
(打った例)燕の子安貝を持ってきてくださったら、石上中納言さまと結婚します。
(打たない例)燕の子安貝を持ってきてくださったら石上中納言さまと結婚します。
- 並列の「と」「も」を伴って、主語が重なる場合に打ちます。
(打った例)お父さんと、お母さんと、長男と、次男と、三男の5人で、仲良く暮らしていました。
(打たない例)お父さんとお母さんと長男と次男と三男の5人で、仲良く暮らしていました。
- 対話又は引用文の「」の前に打ちます。
(打った例)ロバは大きな声で、「ぶひひ~ん」と鳴きます。
(打たない例)ロバは大きな声で「ぶひひ~ん」と鳴きます。
- 「」のついた会話文や引用文を受ける「と」が、「言った」「思った」などの述語に直接つながらず(※)、主格などの他の語が間に入る場合の、「と」のあとに打ちます。
(打った例)「この箱を開けてはいけません」と、乙姫さまは少し寂しそうな顔で言った。
(打たない例)「この箱を開けてはいけません」と乙姫さまは少し寂しそうな顔で言った。
※なお、「」のついた会話文や引用文を受ける「と」が、「言った」「思った」などの述語に直接つながる場合は読点を打ちません。
(〇)「この箱を開けてはいけません」と言った。
(×)「この箱を開けてはいけません」と、言った。
- 「」のついた会話文や引用文を受ける「と」が、「」なしの文を受ける場合の、「と」の前
(打った例)舞踏会に着ていくドレスがないわ、と思った。
(打たない例)舞踏会に着ていくドレスがないわと思った。
おわりに
内容を詰め込み記事が長くなってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。読点をテーマとしているこの文章で、読点を適切に打てているか、気になるところです(笑)
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