医療専門翻訳会社が扱う通訳案件の種類とは?

医療翻訳情報

さて、今回のテーマは「通訳」です。MTSは医療翻訳を専門としていますが、少数ながら通訳案件も扱っています。この記事をお読みの皆さんの中には、「翻訳と通訳どちらをやろうかなぁ」とか「翻訳をやっているけど、通訳もやってみたい」と考えている方もいるのではないでしょうか?今回はそんな方に読んでいただきたい内容となっています。

通訳の形態

通訳は大きく3種類に分かれます。

同時通訳:発言を聞きながら即座に通訳。国際会議など大規模かつスピードが求められる場で用いられます。高い集中力が求められるため2~3名で交代して通訳を行います。

逐次通訳:話者が数センテンスを話した後に通訳者が順次通訳。正確さを重視する会議で使われますが、話者と通訳者が数センテンスごと交互に話すため、2倍の時間を要します。

ウィスパリング:1~2名の聞き手に通訳者がつき、小声で同時通訳。ハリウッドスターが来日時などのインタビューなどでよく見られます。

通訳の分野

通訳にも翻訳と同様にさまざまな分野があります。

会議通訳:シンポジウムやサミットなど大規模会議で行われる通訳。

放送通訳:ニュースなどの放送で行われる通訳。生放送での「同時通訳」と事前に内容を確認した上で映像にあわせて行う「時差通訳」があります。

ビジネス通訳:商談や日本と海外の交流会等、規模、内容ともに幅広いビジネスでの通訳。分野は金融・IT・政治・経済など多岐にわたります。

司法通訳:捜査や取り調べ、裁判で行われる通訳。正確性と中立性が特に重視されます。

医療通訳:病院などの医療現場で行う通訳。外国語話者の文化的背景の理解や専門用語を分かりやすい言葉にして伝えたりと通訳+αが必要になってきます。

ガイド通訳:訪日外国人を案内し、日本文化や伝統、生活習慣などを紹介する通訳。他の通訳と決定的に違うのは、自分で発言内容を考えなくてはならないという点であり「通訳+案内」の性格が強い分野です。

このほか、スポーツ・芸能・教育・行政サービスなど、様々な場面で通訳業務が発生します。

MTSで依頼がある通訳の内容

MTSで取扱通訳は限られており、言語は日⇔英のみです。
主な内容は以下の通りです。

機構相談:「薬ができるまでと発生する翻訳文書~承認申請・製造販売編①~」でご紹介したPMDA(医薬品医療機器総合機構)との承認申請や調査に関する相談業務での通訳。企業側に外国語話者が参加する場合、逐次通訳もしくは同時通訳が行われます。

PMDA査察:PMDAの査察担当者が工場などの製造現場に入り、査察を行う際の通訳。逐次通訳もしくはウィスパリングで対応します。

学会:医療関連学会の会議通訳。秋は学会シーズンのため、通訳者さんの繁忙期となります。大規模な学会では専用のブースを使い、主に同時通訳が行われます。

各種ミーティング:商談や医師との意見交換会など、小規模なミーティングでの通訳。専用の通訳設備が整わない場合が多く、逐次通訳やウィスパリングで対応するケースが一般的です。

最近の通訳環境

ここ数年の新型コロナウイルスに影響で、通訳環境に大きな変化がありました。最も大きな変化は遠隔通訳の普及です。ZoomやWebEX、Microsoft Teamsなどを活用し、機構相談やPMDA査察、学会に至るまで、遠隔で実施されることが多くなりました。これにより通訳者の現地移動や、通訳ブースや通訳機材の手配が不要になる一方で、音声品質の確保や通訳者同士の連携が難しくなるなど、新たな課題も生じています。

おわりに

最後までお読みいただきありがとうございました。
個人的な見解ですが、通訳は短距離走、翻訳は長距離走だなと思います。通訳では瞬発力や柔軟性が、翻訳では持久力や丁寧さが求められ、それぞれ異なる力が必要です。ただし完全には相容れないものではないという感じでしょうか。今回の記事で、少しでも通訳業務について知って頂けたら幸いです。

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