“However” を訳す際の注意点

2024年5月16日医療翻訳用語の基礎

今回取り上げるのは副詞・接続詞の”However”についてです。

Howeverには、文頭や文中に置くものなどいくつかの用法がありますが、中でも文頭でカンマ付きの形(However,)で使用する場合について解説します。

 

However,の訳としては、ある文とそれに続く文の内容が相反するときに両者をつなぐ「しかし」(=逆接)が有名です。しかし、However,は直前の文に補足を加えるために使用される場合もあるため注意が必要です。

「補足」の意味で使用されている場合、訳語は「ただし」を使用します。

 

しかし」:逆接の接続詞で、前に述べたことと対立することを述べる際に使用

→新型コロナワクチンを接種した。しかし、新型コロナウイルスに感染した。

 

ただし」:補足を意味する接続詞で、前に述べたことに条件を補足する際に使用

→10万円支給する。ただし、子どもがいる世帯に限る。

 

では、次の英文のHowever,はどちらの意味で使用されているでしょうか。

 

Diagnostic and therapeutic procedures should not be reported as AEs. However, the medical condition for which the procedure was performed should be reported if it meets the definition of an AE.

 

 

最初の文を読むと、診断や治療のための手技はAE(有害事象)として報告しなくてよいという内容が書かれています。

However,以降には、ある疾患等に対して手技が実施され、その疾患等がAEの定義を満たす場合はそれをAEとして報告することという内容が書かれています。

つまり、手技の実施自体はAEとして報告しなくてよいと述べた上で、手技が実施された疾患等については、定義を満たせば報告することという条件を「補足」しているため、このHowever,は「ただし」が適切ということになります。

 

(英文の訳例)

診断手技及び治療手技はAEとして報告しない。ただし、手技を実施する原因となった疾患等については、AEの定義を満たす場合は報告する。

 

文頭でHowever, が登場した際には、逆接の意味で使用されているのか、補足の意味で使用されているのかよく考えてから翻訳していただけるとよいかもしれません。

 

最後までお読みいただき有難うございました。

 

 

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