翻訳クイズ#12
こんにちは。
最近、子供が擦り傷をよく作るのですが、そういえば自分も同じ年の頃は、転んだりぶつけたりで、いつも身体のどこかしらに傷があったことを思い出しました。
親が傷口に塗ってくれた消毒薬、周りは「赤チン」が多かったのに対して、我が家は「イソジン」だったのですが、振り返ってみるとあれが「文化の違い」を意識する原体験だったかもしれません。みなさんのお宅はいかがでしたか?
さて、次の日英対訳文から修正すべき点を見つけてみてください。
問題文
原文:スクリーニング前1ヵ月以内に大手術を受けた方及び本治験への登録後6ヵ月以内に大手術が予定されている方は、術創の治癒に治験薬が悪影響を及ぼす恐れがあることから本治験に参加することはできません。
訳文:You cannot be in this study if you had a major surgery within one month prior to screening and have a planned major surgery within 6 months after enrollment because the study drug may adversely impact would healing after surgery.
解説
いかがだったでしょうか。
修正していただきたかったのは以下の下線部です。
修正例:You cannot be in this study if you had a major surgery within one month prior to screening or have a planned major surgery within 6 months after enrollment because the study drug may adversely impact would healing after surgery.
下線部が短すぎて見つけづらいかもしれませんが、andをorに修正しています。
英日翻訳で間違えやすいポイントとして取り上げられることも多いandとorの扱いの問題なので、すぐにピンときた方もいるのではないでしょうか。
日本語では、
「A及びB」⇒Aに該当する人及びBに該当する人は参加できない
※A=過去の手術歴、B=手術の予定
となるのに対して
英語で「及び」を素直にandにしてしまうと
「A and B」⇒Aに該当しかつBにも該当する人は参加できない
という意味になってしまいます。
日本語と同じ意味を英語で表そうとすると
「A or B」⇒A又はBに該当する人は参加できない
となり
これで「Aに該当する人及びBに該当する人は参加できない」と同じ意味になります。
なお、「及び」に対してandを用いて同等の内容を表すこともできますが
Patients who had a major surgery within one month prior to screening and those who have a planned major surgery within 6 months after enrollment cannot be in this study.
のように、①Youを主語にできない(同意説明文書なので、それに合った表現にしたい)、②述部(cannot be in this study)が文末に来て読みづらい、という欠点があるので「及び」とandの対応にこだわるべきではないと考えます。
今回の内容が、皆様の翻訳の際にお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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