Availableを処理する際の注意点
今回は処理の難しい形容詞であるavailableについてです。
Availableを辞書で引くと、「利用可能」や「入手可能」といった訳語が記載されており、
実際の翻訳でもそのように逐語的に処理されていることがありますが、availableの訳語が「利用可能」、「入手可能」で自然となる場面はそれほど多くはありません。
以下の例文をご覧ください。
◆例文
(例文1)
The MTS delivery system is available in one size.
(訳例)
MTSデリバリーシステムは、1種類のサイズのみ利用可能である。
(例文2)
We ask all the investigators to be available on the day of monitoring.
(訳例)
治験責任医師の皆さんは、モニタリング当日に利用可能でいてください。
◆解説
上の例文では、availableが「利用可能」と訳されていますが、
これでは意味するところが曖昧です。
例文1の趣旨は、「MTSデリバリーシステムのサイズは1種類のみ存在する」ですが、「1種類のサイズのみ利用可能」とすると、「他にもサイズがあるけど、ここでは1種類しか使用できない」とも読めてしまいます。
このように、availableを処理する際には、初めに「ある、存在する」の趣旨で解釈し、そこから文脈に応じて訳語を選択する必要があります。
例文2はavailableが人に用いられているパターンですが、上記を踏まえると、「モニタリング当日にいるようお願いする」と解釈し、「モニタリング当日の予定をあけておくようお願いする」、「モニタリング当日の予定を確保するようお願いする」などと処理することができます。
◆修正例
(例文1の修正例)
MTSデリバリーシステムのサイズは1種類のみである。
(例文2の修正例)
治験責任医師の皆さんは、モニタリング当日の予定をあけておいてください。
◆おわりに
これまで逐語的に処理されていたという方は、どのような訳語が適切か、ぜひ検討してみてください。
最後までお読みいただき有難うございました。
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