【PM直伝】翻訳の現場を支える「上手なコミュニケーション」とは?~メールが9割の世界で信頼されるコツ~

医療翻訳情報

翻訳の仕事は、基本的には一人で集中して進める時間が大半を占めます。
表面だけを見れば「個人作業」のように感じられるかもしれません。
けれど実際の翻訳業務は、コーディネーター、翻訳者、レイアウトオペレーター、チェッカー、そしてクライアント――複数の役割が連携して初めて成立する「チームワークの仕事」です。

その中でも、翻訳者の皆さまと私たちコーディネーターとのやり取りは、9割がメールで完結します。 打診から始まり、納期調整、作業依頼、仕様確認、質疑応答、そして納品に至るまで、文字のやり取りだけで仕事が進んでいきます。声のトーンも表情も見えないからこそ、業務を円滑に進めるためには「上手なコミュニケーション」が欠かせないと日々感じています。

特別なスキルは不要。必要なのは「連絡・確認・相談」

「コミュニケーション」と聞くと、「話が上手い」「社交的である」といった対人スキルが求められるイメージを持たれる方もいるかもしれません。しかし、翻訳の実務において求められるのは、もっとシンプルで具体的なことです。

■状況や意図を、簡潔に・正確に伝えられる
■分からない点をそのままにせず、早めに確認できる
■行き詰まったときに相談できる

この3つができるだけで、業務は驚くほどスムーズに進みます。これらは特別な才能ではなく、ちょっとした「意識づけ」だけで誰にでも実践できることです。
例えば、

■メールの最後に「念のため確認させてください」の一文を添える
■「こちらの理解で問題ありませんか?」と書いて誤解を防ぐ
■自分だけで抱え込まず、早めに状況を共有する

こうした小さな積み重ねが、「安心して依頼できる翻訳者さんだ」という信頼につながります。もちろん翻訳品質そのものも大切ですが、適切なコミュニケーションができる方には、コーディネーターとしても安心して次の業務をお願いしやすくなるのです。

コミュニケーションの目的は「誤解やすれ違いを防ぐこと」

メールだけのやり取りでは、意図が伝わらなかったり、理解がずれてしまったりすることがしばしば起こります。

■用語の統一方針を確認しないまま作業を進めてしまった
■作業指示の読み違いにより、納品後に大幅な手戻りが発生した
■MTPE(機械翻訳ポストエディット)の品質目標を曖昧にしたまま作業してしまった

残念ながら、このようなケースは珍しくありません。 私たちコーディネーター側も行き違いを防ぐために、打診の段階からできるだけ情報を整理してお伝えするよう努めていますが、もし「あれ?」と思うことがあれば、そのタイミングで確認を入れていただくことが何より重要です。

丁寧な確認と状況共有があるだけで、誤解やすれ違いは大幅に減らすことができます。

次の走者へバトンを繋ぐ「申し送り」の重要性

翻訳案件は、複数の作業者が関わる場合がほとんどです。
翻訳者 ⇒ レイアウトオペレーター ⇒ チェッカー ⇒ コーディネーター ⇒ クライアントと、作業データはバトンのように渡っていきます。
そこで重要となるのが、翻訳者様からの「申し送り」です。

■意図的に訳を補った箇所
■原文の誤り(不明点)とその判断根拠
■定訳がないため仮訳で対応した旨
■注意が必要な表記ルールや例外
■気になる表現や判断に迷った部分

これらを共有していただけるだけで、次に作業する人が迷わず進めることができ、全体の品質が安定します。

申し送りとは、メールベースの見えない連携をしっかりとつなぐための大切な「言葉のバトン」です。 「自分が次の担当者だったら何を知りたいか?」「どう書けば意図が伝わるか?」という視点を持つだけで、申し送りの質は大きく向上します。

まとめ

ここ数年で翻訳業界でも在宅勤務が当たり前になり、対面とは異なるコミュニケーションの工夫が必要になっています。
翻訳の現場におけるコミュニケーションとは、決して難しいことではありません。「連絡・確認・相談」を丁寧に行い、誤解やすれ違いを防ぎ、申し送りでチームの仕事をつなぐこと。 その積み重ねこそが、納品物の品質を高め、全員が安心して業務を進められる環境をつくります。
“メールが9割”の翻訳現場だからこそ、上手なコミュニケーションは翻訳者にとっての大きな「強み」となるはずです。

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