「スケジュール管理力」は信頼される翻訳者の共通点
翻訳コーディネーターの仕事をしていると、日々実感することがあります。それは、スケジュール管理ができる翻訳者さんほど信頼され、長く活躍し続けるということです。翻訳者さんの作業は個人で完結するように見えますが、実際には多くのプロジェクトの中の一工程です。翻訳の納品日は、その後に続くチェック、レイアウト、クライアントレビューやリリースのスケジュールと綿密に連動しています。つまり、1日の遅延がプロジェクト全体を止めてしまうこともあり得ます。
だからこそ、私たちコーディネーターにとって、「確実に納期を守ってくれる翻訳者」は信頼を寄せる存在なのです。
自分の処理量を理解している翻訳者は、安心して任せられる
優秀な翻訳者さんの共通点として、自分の翻訳速度や処理量を正確に把握している、という点があります。
• 1日あたり、平均でどの程度の作業量を処理できるか
• 最低限でも対応可能な量はどれくらいか
• 無理なく作業できる量はどの程度か
こうしたセルフマネジメントができている方は、案件受注の判断が的確で、納期を守ることはもちろん、いつも安定した品質の翻訳を提供してくれます。
一方で、残念ながら以下のようなケースもあります。
「思ったより作業に時間がかかってしまい、納期の延長をお願いしたいです」
この連絡が 納品日前日や当日に届くことも…。その瞬間、コーディネーターの頭は一気にフル回転します。
• 社内工程を調整するのか?
• チェッカーやレイアウト担当者に時間短縮を依頼するのか?
• クライアントに説明すべきか?
• 最悪の場合、クライアントへの納品日を再交渉すべきか?
もちろん体調不良や緊急事態など、やむを得ない事情があることも理解しています。
しかし 事前にわかっていたであろう遅延が「直前まで共有されない」ケースは、プロジェクト全体に大きな負担を生みます。
意外とある納期の記憶違い。防止策はとても重要
実は、納品日そのものの記憶違いによる遅延トラブルも現場では珍しくありません。
「18日納品だと思っていたら、実は15日だった…」
「カレンダーに登録し忘れていた…」
そんな単純なミスが、プロジェクト全体の作業遅延につながることがあります。
だからこそ、
•案件受注後すぐにカレンダーに登録
•アラーム設定
•中間チェック日を決める
のような小さな習慣が、信頼の積み重ねにつながります。
長期・大型案件ほど、進捗管理が肝
短期案件ではスケジュール感が掴みやすいですが、数週間〜数か月にわたる長期案件の場合は状況が変わります。
進捗管理が曖昧だと、
•「まだ日数があるから大丈夫」と油断してしまう
• 別案件の差し込みにより、進捗管理が乱れる
• 気づけば納期前に大量の作業が残る
という事態に陥りがちです。
そして、コーディネーターが最も心配するのは、追い込み作業によって品質が落ちてしまうことです。
案件の前半の翻訳は丁寧だったのに、終盤は急いだ形跡がある…。
誤字、訳抜け、用語揺れ、チェック漏れが多くある…。
こうなると最終工程への負担が増えるだけでなく、翻訳者としての評価にも影響してしまいます。
終わりに
優秀な翻訳者さんが持つ要素は、言語力や専門知識だけではありません。「約束した時間に、安定した品質の成果物を届けられる体制」を作る力 も、プロとしての重要な要素です。
• 自分の処理量を把握する
• 納期を確実に管理する
• 長期案件は進捗を可視化する
こうした点が徹底できている翻訳者さんは、私たちコーディネーターにとって頼もしい存在であり、結果的にリピート依頼が増えていき、重要案件もお任せすることになります。
スケジュール管理は、品質そのもの、信頼そのものです。
日々丁寧にスケジュールを管理し、誠実に仕事をしてくださっている翻訳者の皆様へ、心から感謝しています。
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