医療系翻訳会社が受託する「通訳」の仕事

医療翻訳情報

MTSでは主に医療翻訳を扱っていますが、普段お世話になっているお客さん(製薬会社、医療機器メーカーなど)の関係で、「通訳の仕事」をいただくこともあります。

そこで今回は、MTSが普段お受けしてる通訳のお話をしてみたいと思います。

問い合わせ~受注まで

通訳の問い合わせがあった際は、以下のような点をお客さんと一緒に詰めていきます。

1)日程(通訳者の拘束日程・時間)

2)逐次通訳か、同時通訳か、ウィスパリングか

3)通訳の内容(例. PMDA(医薬品医療機器総合機構)での通訳、海外本社とのミーティングでの通訳、GMP監査での通訳など)

4)事前打ち合わせが必要かどうか、及びその日程

5)通訳者の本番当日の参加方法(オフラインなのかオンラインなのか、使用するオンラインツールなど)

上記内容に対応できる通訳者さんが見つかれば、お客さんにお見積りを提出します。その後、案件が受注に至れば、通訳者さんへの正式依頼となります。

受注~本番まで

まずはお客さん側で、「当日使用する資料」を作成します。その間我々翻訳会社は、その資料の完成を「待つ」しかありません。

ですが、通訳者さんにとって「資料提供は早めであればあるほど助かる」ものです。

一方で、お客さんからの資料は「本番ギリギリまで完成しない」「五月雨式に送られてくる」こともしばしばです。コーディネーターは、その状況に柔軟かつスピーディーに対応しながら、ときにはバイク便を使ったりしながら、通訳者さんにデータやハードコピー(印刷物)をお渡ししていきます。

もちろんこの間に、スケジュールの細かい調整や、通訳機器の手配なども行います。

通訳終了

通訳業務が終了すると、通訳者さんから業務終了時間の連絡があります。これを以って案件終了となります。その後、お客さんからフィードバックがあれば、その内容を通訳者さんに共有します。

起こりうるトラブル

1)日程の確定

通訳者さんの拘束時間は基本的に「半日」「全日」のいずれかです。できる限り通訳者さんに配慮して早めの「日程確定」を目指します。ですが、通訳案件は複数の関係者が関わることもあり、お客さんに側で日程確定まで時間を要すことがあります。また、その間に通訳者さんに別件(打診も含む)が入ってしまったりすることもあります。

そのような理由から、通訳案件では、翻訳案件に比べて「日程調整/人員調整」の難易度が高いです。

2)資料が間に合わない

当日使用する資料は、本番ギリギリに完成することが多いです。特にPMDA相談の資料は、お客さんが最後まで手直しを加えるため、宅急便では間に合わない事もあります。それでも当日中には必ず資料が必要なため、バイク速達便でハードコピーを届けたり、場合によっては、我々翻訳会社が通訳者さんに直接届けることもあります。

3)お客さんと通訳者さんとのコミュニケーション

私たち翻訳会社は、基本的に会議に同席する事はないため、当日発生したエラーは後から知ることになります。

例えば「オンライン通訳」の場合、通訳者さんから「お客さん側のマイクの音声が聞き取りづらかった」という指摘があったり、お客さんからは「もっと積極的に通訳してほしかった」という要望もあったります。コーディネーターは、それらを両者に上手く伝え、その後の業務で改善していく事も大切です。

4)料金が高い

初めての問い合わせ時に「通訳料金の高さ」に驚かれるお客さんも多いです。なかでも「通訳者との事前打ち合わせ」で料金が発生する事に難色を示すお客さんもいます。

MTSの設定する通訳料金は決して高くありませんが、それでも、翻訳料金と比べると割高に感じることもあり、我々翻訳会社は丁寧に説明する必要があります、

終わりに

通訳の仕事は、翻訳案件とは異なり、日程調整に時間を要したり、内容が直前まで確認できなかったり、イレギュラーが発生する可能性が高いです。そのため、我々翻訳会社も、通訳者さんも、柔軟かつ迅速に対応する必要があります。

今回の記事が参考になればうれしいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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